関西学院千里国際中等部・高等部
本校は中高一貫教育の利点を最大限に活かし、身の回りの現象に疑問を持ち、科学的に分析・解明する主体的な学習者を育てることを目指している。今回は、主体的な学習者の育成にEssential Questionに取り組む過程がどのように寄与するかを研究した。
中学3年生は化学領域の「化学変化とイオン」の学習に取り組み、Essential Questionとして「化学変化やイオンが私たちの日常生活や産業、環境に与える影響は何か」を設定した。単元学習のはじめに「私たちの生活や産業、環境にイオンがどのような影響を与えているのか」を現在の知識で述べるよう生徒に求めたところ、当初は知識が乏しく、記述量はわずかであった。
その後、「水溶液とイオン」「電池とイオン」「酸・アルカリと中和」で構成される単元で、生徒たちは水溶液とイオンの関係、ボルタ電池やダニエル電池、鉛蓄電池の制作、酸・アルカリの性質や中和反応などを学んだ。各授業で実験を取り入れ、実験結果に対する考察を記述させることで、生徒は学んだ内容を自分の言葉でまとめ、理解を深めていった。
単元学習の最後に、最初に設定したEssential Questionと同じ質問で生徒に記述させたところ、生徒は具体的な学習事項を例示し、自分の身近な内容と関連付けて整理することができた。
中高一貫教育の利点の一つとして、受験を意識した授業を展開する必要がないことが挙げられる。したがって、すべての授業で実験を取り入れたり、融解塩電解のような学校でしか再現できない現象を生徒に観察させることを通じて、生徒が日常で当たり前に触れているイオンを科学の視点で見ることができ、学習事項を自分事として捉える主体的な学習者の育成に繋がったと考えている。
学校名 |
関西学院千里国際中等部・高等部 |
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テーマ |
身の回りの現象に疑問を持ち、科学的に分析・解明する主体的な学習者を育てるには 〜Essential Questionに取り組む過程を通じて〜 |
都道府県 |
大阪府 |
学校ホームページ | https://sis.kwansei.ac.jp/ |