2023年1月「未来のリーダー教室 導入編」プログラムの全容を紹介します

日産財団は「未来のリーダー教室 導入編」を2023(令和5)年1月21日(土)、早稲田大学早稲田キャンパスで開催しました。スタディサプリ社会科講師としても知られる伊藤賀一先生のファシリテーションのもと、応募参加した中学生・高校生20人が「リーダーシップ」「未来を見通す」「アート思考」「SF思考」という4つのテーマで、講師からの講義を受け、ワークショップをおこない、未来のリーダーとしての自分について考えました。「導入編」として初の開催となった教室の様子をレポートします。参加した中高生の感想を紹介した記事もあわせてご覧ください。

「VUCAの世の中、みなさんに躍動してほしい」

「未来のリーダー教室 導入編」は、「未来のリーダーをめざしたい」「リーダーシップに興味がある」といった中高生たち、さらには「夢や進路をどうやって描くの??」と思っている人にも向けた教室です。

「みなさん、VUCAということばを聞いたことありますか。不確実性が高く、将来の予測が困難なことです。そんなVUCAの世の中で、みなさんには躍動してほしい。そのために私たちは、みずから行動を起こすことでよい変化を起こす人を『リーダー』と考え、各分野で活躍する先生たちの協力のもとこの教室をつくりました」


伊藤賀一先生による進行

今回のファシリテーター伊藤賀一先生のこうしたメッセージで、教室は始まりました。そして、参加者たちが自己紹介として、1分間で、未来のリーダーとして思い浮かぶ人と、いま関心あることを言っていきました。歴史上の人物から、身近な家族・先生まで、参加者たちが挙げた「リーダー」はさまざま。関心ごともさまざまです。

リーダーシップについて考え、未来を見通す

いよいよ講義です。最初のテーマは「リーダーシップ」。早稲田大学商学学術院教授で、「未来のリーダー教室」の総合監修もつとめる池上重輔先生のビデオ講義を受けました。

「なぜリーダーが必要か。世の中の変化が背景にあります。必要とされるゴールが変わり、みんながリーダーになる必要が出てきたのです。リーダーにはパタンがありますが、どれがいちばんというのはありません。グローバルリーダーになるための知識やスキルを示します」


第1章のキーメッセージ

リーダーシップとはなにかあらためて思い巡らすことのできる池上先生のビデオ講義を受けたあと、参加者たちはあらためてどんな場面でリーダーが必要となるかなどを考えます。参加者は「状況が変化したり、大きな選択を迫れたりしたときリーダーが必要だと思いました」などと、みなさんにみずからの考えを伝えました。


リーダーシップについて考えたことを書いていく

つぎのテーマは「未来を見通す」。日産財団理事長で日産自動車総合研究所所長などをつとめた久村春芳先生からのビデオ講義を受けました。

「ピーター・ドラッカーという人は、『確定された未来』という言葉を遺しました。将来なにが起きるか予測できるということです。それを見つけることが経営や技術開発に重要だと言っています。ではまず、エネルギーの未来(がどうなりそうか)を見ていきましょう。世界のエネルギーの使われ方の推移を示します」


第2章のキーメッセージ

未来を予測するためのファクトをさまざま示す久村先生のビデオ講義を受けたあと、参加者たちは、自分の関心ごとが10年後の未来にどうなっているかを考えました。「メタバースで、逆にリアルなスポーツが発展しそう」「AIが音楽をつくっている」「自動運転がレベル5まで行って人びとの生産性が高まる気がします」。こうした未来予想に、伊藤先生も久村先生も感心しきりでした。


10年後の未来を話しあう

アート思考とSF思考を体感する

後半、参加者たちは「自分」に目を向けていきました。つぎのテーマは「アート思考」。玉川大学芸術学部アート・デザイン学科講師の栗田絵莉子先生と、リフレクトアート代表取締役CEOの福村彩乃先生からのビデオ講義を見聞きします。

「アート思考というものがさまざまな分野から注目されています。作品の制作を通じて、自分に気づき、世の中にリンクする方法をお伝えします。アートとはなにかを考えるため、レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナリザ』と、中世の絵画を見比べてみましょう」(栗田先生)


第3章のキーメッセージ

栗田先生から、既成概念を疑って再構築するとすることが大切といったポイントを聞いたあと、参加者たちは「自分」の考えや思いを入れた作品づくりに臨み、そしてつくった作品の意図などを伝えあいました。さらに福村先生からのメッセージを聴きます。


つくった作品を見せあい話しあう

「五感を使って『ここが自分の人とちがうところかも』『これが好きかも』と、いままで知らなかった自分に出会えた時間になったのではないでしょうか。アーティストが創造をする過程は、世界に新しい価値を生み出すのにとても重要なのです」(福村先生)


福村彩乃先生の講義

最後のテーマは「SF思考」です。科学文化作家で応用文学者の宮本道人先生からのビデオ講義を受けました。

「最近、SFがさまざまななビジネスに影響をあたえています。ジェフ・ベソズやイーロン・マスクなど、世界的に知られる人たちのなかにSFを重視する人が多くいます。未来のことを考えるのは得でしょうか。みなさんが未来を考えるようにと言われたときどうすればいいか。SF思考があります」


第4章のキーメッセージ

独自の視点をもつ宮本先生からの講義を受けたあと、参加者たちは自分にとっての未来を「フィクション」で考えるためのワークショップに臨みました。関係なさそうな二つのことばを結びつけて「物語」を考えていきました。


SF思考を体験する

「得られたその考えで、みずから行動を起こして」

4つのテーマで、未来のことや自分のことと向きあった参加者たちは、最後に伊藤先生からのメッセージを受けました。

「リーダーシップ発揮して行動したいと思った人も、リーダーとは別のかたちで行動したいと思った人も、ぜひ今日を振り返っていただければと思います。『世の中はこれからこうなる。だから何々する。しかし何々する』という考え方を使って、みずから行動を起こすことで、自分なりの未来のリーダーをつくっていってください」

参加者のみなさんは「学校とはちがう体験をしたい!」とか「自分が受けてもいいのかな……」とか、いろいろな思いで「未来のリーダー教室 導入編」に参加してくれたものと思います。みなさんの充実感ある表情が印象的でした。

中学生・高校生のみなさん。ファシリテーターの伊藤先生。担当講師の先生たち。ありがとございました。日産財団の「未来のリーダー教室」はこれからも前へ前へと進んでいきます。ぜひまたお会いしましょう!