2024年3月「未来のリーダー教室」展開編を神奈川で開催、Day2レポート
日産財団が2024年3月17日(日)と28日(水)、神奈川県内で実施した「未来のリーダー教室 展開編」の内容をレポートしています。BUKATSUDO(横浜市)で実施したDay1につづき、Day2はステーションコンファレンス川崎(川崎市)で開催。「導入編」をすでに受講し、今回の「展開編」に参加した受講者のみなさんはこの日、「リーダーシップ」「イノベーション」「SF思考」の各セッションで、マスター講師たちの講義に臨みました。
多様なリーダーシップのスタイルを話しあう
「リーダーシップ」のセッションでは、マスター講師で早稲田大学グローバル・ストラテジー・リーダーシップ研究所研究所員・商学学術院教授の池上重輔先生からの講義を聴きました。さまざまなリーダーのスタイルがあるなか、新しいリーダーシップ像として、高い倫理観や道徳感をもち、リーダー自身が大切にしている価値観や考え方に根ざして組織をリードする「オーセンティック・リーダーシップ」や、まず相手に奉仕し、その後、相手を導いていく「サーバント・リーダーシップ」などがあることを聴きました。
池上重輔先生
受講者たちから「リーダーというとカリスマ性をイメージしていたから、サーバント・リーダーシップは新鮮」「大人数の組織には向かないのかも」などと、さまざまな意見が上がり、話が深まりました。
さらに、どうすれば各リーダーシップがはたらくかをテーマに、チームでディスカッション。「グループの特性やめざす方向によってリーダーの形を変える必要がある」「組織に優秀な人が集まればこそうまくいくリーダーシップのスタイルもあるのでは」などの意見を伝えあいました。
「医療」を軸にシステム思考に臨み、医師の体験を聴く
「科学技術とイノベーション」のセッションでは、まず日産財団理事長の久村春芳先生から、イノベーションの起こし方についての講義を聴きました。イノベーションには、クリエーション(創造)やトランスフォーメーション(変革)などの多重的な力を必要とすることや、コラボレーションが重要であるといった話を聴きました。
久村春芳先生
その上で受講者たちは、価値創造のための情報や考えの整理や、変革実現のための実行案づくりを実践するため「システム思考」を、久村先生と日産財団常務理事の原田宏昭先生の導きで体験していきます。「先端技術から未来の医療につながりそうな『兆し』をとらえよ」などのお題のもと、思いつく言葉を上げ、さらにこの二つを横軸・縦軸としたマトリクスに入れていく形で、「未来のメディカルサービス」を創っていきました。
「システム思考」で「未来のメディカルサービス」を考える。右は原田宏昭先生
さらに、ゲスト講師としてお招きした、小児科医で医薬品医療機器総合機構(PMDA)審査専門員の岡本圭祐先生から「医療・創薬におけるイノベーション 一小児科医におけるぐるぐるシンキング」というテーマの講義を受けました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のmRNAワクチンには、小さな設備でつくれるという技術革新があったといったお話を聴きました。そして「(医療のもととなる種を)クリエイトするだけでなく、出口にもっていく(実用化させる)ため、いかに仲間を集めやっていくかが大事になります」といったメッセージを受けとりました。
ゲスト講師の岡本圭祐先生
人に決められた未来をあなたが破壊せよ
最後のセッション「SF思考」では、マスター講師で北海道大学CoSTEP特任助教の宮本道人先生によるZoom講義を聴き、ワークに臨みました。講義のテーマは「人に決められた未来をあなたが破壊せよ」です。
宮本道人先生によるオンライン講義
受講者たちは、導入編で体験した「掛け算」をさらに深めるワークに臨みます。「一番の夢でない夢」を出しあい、さらにそれらを「掛け算」。そして、「30年後に成功しているための架空のプロフィール」を考えていきます。受講者たちは「ヒッチハイカー・ニュースキャスター」「AI言語習得家」「石油アイドル」といった職業とプロフィールを創造して披露。さらに、封印してきた「一番の夢」と組み合わせていきました。
後半では「ロボットの進路相談」というお題のワークにものぞみました。ロボットが抱える悩みを、アドバイザーたちが助言していくもの。「だめアドバイザー」こそ「すぐ役に立たないアドバイスができる人」という宮本先生のメッセージを聴きました。
「今後もぐるぐるシンキングしていきたい」
2日間にわたる「未来のリーダー教室 展開編」を体験して、受講者のみなさんは、さまざまな学びを得たようでした。いくつか感想を紹介します。
「さまざまな物事の視点を、いろいろな経験をもとにした先生方に講演していただいたおかげで学べました。今後もぐるぐるシンキングを使って考えていきたい」
「新しいものをつくる大変さがすごくよくわかりました。これからもおなじ思考法を使えそうです」
「生涯を通して学び、考え、社会全体を見る目を身につけていきたいと思うようになりました」
Day2終了後の集合写真
マスター講師とゲスト講師の先生方、オブザーバーのみなさん、そしてなにより参加してくださった受講者のみなさん、ありがとうございました。日産財団は、これからも「未来のリーダー教室」を導入編・展開編ともども充実させてまいります。みなさんといっしょに未来への道を歩んでいければと思います。